ダーニングハウス / 即興変更2

工務店にはあまり良い顔をされない即興的な現場変更その2

2)出窓の幅について

午前中、ダイニングに十分な採光をもたらす出窓。以前の住まい手が残したレースカーテンの奥には緑色のメッシュフェンスがぼんやりと・・・採光的にはありがたいけど、なんだかな〜な景色。隣地との離れもそれほどとれていないので、植栽を植えてもうまく育つかわからないし、狭いところで管理も難しくなりそうです。昔のアルミサッシ+単板ガラスなので、断熱気密的にもネガディブな存在。

そこで考えたのが、出窓全体をガラスのショーケースとして見せる作戦。出窓空間に飾り棚を設けることで、視線を手前のディスプレイで止めることができます。また、出窓手前に木製内窓を設けることで、断熱気密性能がアップします。

一石二鳥の提案ができたと小嶋的にも納得していたはずでしたが、現場に行くたびに「ん〜?」という違和感を感じていました。

何でしょう。言ってしまえば大きすぎるってことなんでしょうけど、せっかくの採光通風に有効な窓を絞ってしまうのもね〜・・・。どうしても違和感を感じるポイント、それはLDKの入口ドアを開けて入った瞬間、視線が窓の奥にスッと抜けてしまうことでした。原因は、この家のシンボル的存在となっているケヤキの極太柱によって窓の端部が隠れてしまっていること。最初にCGを作った時から気になっていましたが、枠が4周見えていないと、こんなにも違和感を感じるんですね。窓を左右10センチづつ絞ったCGを作ってみると、途端になんだかしっくりきました。

Hさんとの現場打ち合わせの際、CGをお見せしながらそのことを提案すると、とても喜んでくださいました。

現場的には、今まさに建具の製作に取り掛かろうとしていたところでしたが、何とかギリギリ間に合いました。

既存写真↓

現場写真↓

窓幅を絞った後の現場写真↓

左右10センチづつの違いですが、なんとなく落ち着く窓になりました。

小さな拘りを積み上げていくことでしか到達できない「自然な佇まい」があると信じています。より心地いい空間をつくり出せるよう、これからも現場での嗅覚を大切にしていきたいと思います。