ダーニングハウス / 築43年木造戸建て購入サポート

昨年11月、一件のお問い合わせメールが届きました。
「今日内覧した中古木造住宅が気になっている。費用などのご相談に伺いたい」との内容でした。聞けば1975年竣工、築43年の木造戸建てとのこと。つまり旧耐震物件です。

予算的に「土地購入+新築戸建て」が難しい場合、「中古戸建てのリノベーション」という選択肢があります。しかし旧耐震物件の場合、構造補強や屋根の葺き替え、断熱の入れ替え等、必要な工事のボリュームが大きくなってしまう為、リノベーション費用は新築建て替え費用の8割程かかると言われています。その差額を大きいと見るか、小さいと見るかは人それぞれですが、旧耐震物件をリノベーションして住むというのは、かなりハードルの高い選択肢なのかもしれません。

さて、今回気になっているという物件は新耐震基準ができる6年も前のもの。難しいとはわかっていながら一縷の望みにかけてお話を伺っていくと、こちらの想像を超える素晴らしい情報が次々と提示されました。

まず、新築当時の施工業者が「佐藤秀」とのこと。
佐藤秀とは、建築家の間では腕利きとして名高い工務店です。

次に竣工図が一式揃っていました。
立面図を見ると筋交と思われる斜線がしっかりと記入されています。

駄目押しは売主側が用意していた 耐震診断書(耐震補強計画)。
見ると、筋交が元々入っているおかげで、補強工事は金物の追加が数カ所と構造用合板による耐震壁の追加が1箇所。とても簡単な工事内容。

屋根・外壁・内装等、仕上げ材の状態によっては、改装費用を予算内に収められるかもしれない!
しかし、43年間暮らしを支えた住まいはどのような経年変化を遂げているのでしょうか。

いざ現地調査へ!

外回りは多少塗装が剥がれていたり、木が傷んでいる箇所もありましたが、室内は驚くほど綺麗な状態です。アルミサッシや壁の断熱気密性能が今とは全く異なる時代の家。窓枠周りが結露によって傷んでいると思いきや、結露の跡すら見当たりません。売主の方曰く結露はほとんど見たことがないとのこと。障子が2重サッシのような役割を果たしたのか、水蒸気を漆喰が吸っていたからか、とにかくどこもかしこも綺麗な状態でした。

本物の素材によって丁寧につくられ、大切に使われてきた古い家。
この素晴らしい家を自分達らしくリノベーションして住んでいくことに決めたHさんご夫妻。

さて、どのような家に仕立てましょうか?