Outdoor Livingのある家 について考えたこと

【お知らせ】
完成見学会を7/8土,9日に予定しています。
詳しくは、LINE,blogにて改めてお知らせします。

敷地は神奈川県綾瀬市にある、Kさんが生まれ育ったご実家の土地の一角。

ご両親が使っていた車庫と農業用倉庫を取り壊し、
「Kさん家族が住む家」と「ご両親が使う農業用倉庫」を建てる計画です。

Kさん世帯(子世帯)と親世帯が心地よく暮らすために4つのことを考えました。

1)ちょうどいい距離感を保つ

子世帯の敷地は親世帯の広い敷地から自由に切り取ることができたので、
ご実家の母屋や周辺環境とのちょうどいい距離感を模索しました。

Kさんの住宅は、南側に「ちょうどいいサイズの庭」を確保できる配置とし、
母屋との間に背丈程の木柵を設けることでお互いのプライバシーを確保しました。

道路沿いには高さ1.8〜2.1mの大谷石の塀があり、道ゆく人に対するプライバシーも確保できていました。

2)次世代への継承

ところが、大谷石がかなり劣化していたので、塀を新たに造り替えることにしました。
Kさん、お子さん、更にその先の代への継承を踏まえ、長寿命のRC造(鉄筋コンクリート造)が望まれました。

人の背よりも高い塀は、道ゆく人たちに圧迫感を与えますが、
RC打放し仕上げとなると無機質で冷たい印象もプラスされてしまいます。

そこで、長大な塀を少しでも柔らかな表情にするため、杉板の木目をコンクリートに転写させる「杉転写RC塀」としました。

木のアクによる黄色味や木目の有機的な凹凸感により、塀全体の圧迫感が少し和らいでいるように思います。

また、道路境界線から塀を20〜30cmセットバックすることにより、道路に視覚的な広がりをつくりました。
セットバックした敷地には下草を植え、より柔らかな印象となるよう配慮しました。

既存の大谷石塀
杉転写RC塀(道路境界から300mmセットバックしたスペースに下草を配置)

次世代に継承していくものは、権利や資産、機能性だけではなく、長い時間をかけて積み上げてきた地域住民との信頼関係こそ、何よりも大切なものだと考えました。

3)Outdoor Livingのある暮らし

Kさん夫妻から受け取ったイメージシート(こぢこぢから依頼したWORKの成果物)を見ると、庭の植栽を望む縁側の写真やプライバシーが保たれたデッキで食事を楽しむ写真、軒下空間で子供が遊んでいる写真等がありました。

降り注ぐ陽光の下でアウトドアライフを満喫するというよりは、「暮らしの延長にある外空間」を日常的に使い倒したい、といった印象を受けました。

そこで、屋根と3方の壁に囲まれ、プライバシーの保たれた半外空間=Outdoor Livingをつくることにしました。

気の向くままにOutdoor Livingへ出て、移ろう自然を感じながら、家族やジジ・ババとの親密な時間を楽しむKさん達の姿が目に浮かびます。

工事中のOutdoor Living

4吹抜けを中心に繋がる一体空間

ダイニングの吹抜けを中心に、リビング・キッチン・庭、2階の子供室・寝室・デスクコーナーが繋がります。
家の中のどこにいても家族の気配を感じることができる一体空間は、まるで巨大なワンルーム。

あらゆる方向に視線が抜けることで、実際の床面積よりも広く伸びやかな空間に感じることでしょう。

また、1階LDKの窓と階段上部のハイサイド窓を開ければ、家の中に心地のいい風が流れてきます。
温かい空気が下から上へ移動する原理を利用して、空気の流れ=風をつくり出します。



初回面談の際にKさんから受け取ったヒアリングシートにはこんな要望が列記されていました。

・2階リビング
・広い玄関(引き戸)
・切妻屋根
・ゲストルーム
・中庭
・お風呂の外に出られるスペース
・緩やかな階段
・無垢材の床
・できれば漆喰壁
・隣家に対するプライバシー
・キッチンに大きめの窓
・キッチン横にワークスペース
・キッチン、パントリー、洗濯機、物干場(外)が繋がる動線

これらの情報を元にプランをまとめていきましたが、実際に完成したプランと比較すると、実現していない項目(2階リビング・中庭)も少なくありません。

こぢこぢでは2021年の春頃から「家づくりメソッド」という新サービスの開発に着手しましたが、
そのサービスの中に「要望を深掘りし解像度を上げる」というSTEPがあります。

STEP-1 要望を深掘りし解像度を上げる
ご夫婦それぞれが行った3つのWORKの成果物を元に、
ご夫婦と小嶋の3者でディスカッションを行うことで、
自分の中の曖昧だったイメージをより鮮明に把握することができたり、
知らなかったパートナーの感覚を共有できたり、
夫婦の要望をより深く、はっきりと認識するためのSTEPです。

Kさん夫妻にもこのSTEPを行なって頂いたことで、この計画で最もワクワクする空間 Outdoor Living を導き出すことができました。

ジジ・ババが育てた採れたて野菜を囲み、Outdoor Livingを日常的に楽しみ尽くすKさん家族の姿が目に浮かびます。

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所在地   神奈川県綾瀬市

・海老名駅から「バス+徒歩」で16〜21分
・東名高速バス「東名綾瀬」停留所から徒歩14分
・東名高速 綾瀬スマートICから車で5分

用途地域  市街化調整区域
用途    個人住宅 / 農業用倉庫
構造    木造2階建 / 木造平屋建て
敷地面積  198.58㎡ / 1272.57㎡
建築面積   67.79㎡ / 69.56㎡
延床面積  98.54㎡ / 69.56㎡
(Outdoor Living面積 9.93㎡)
UA値    0.55 W/㎡・K
C値    0.87 ㎠/㎡
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