フレーバーハウスについて考えたこと

週に一度は映画を見るのが日課となっているご夫婦。
スクリーンを通し、あらゆる地域の多様な暮らしを目にしていましたが、ParisやNYのライフスタイルに惹かれていました。

お二人が求めたのは、機能を満たす箱ではなく、趣のある空気感でした。

通常、お施主さんが入居後に買う家具や小物類は、建築が固まった後に合わせて選ぶことが一般的です。
しかし、この家においては建築はあくまで背景と考え、そこに置かれる家具や小物で空間をつくろうと思いました。

高天井(2.75m)・縦長の窓・窓の額縁・幅木・ガラスブロック・鉄骨階段・H鋼柱・リブ状梁型・吹抜け・オーク床等の建築部材は主人公(お施主さん)のセンスを表現するための背景です。

そこに置かれるソファ・イス・テーブル・照明器具・カーテン・壁のデコレーション・ラグマット・観葉植物等も主人公のライフスタイルを表現するための重要な要素です。

それらの多くはお施主さんとこぢこぢで話し合いながら選んでいったものですが、これだけではまだまだ足りません。
お引き渡し後も、お施主さん自身で蚤の市を探しまわったり、人から古いものを譲り受けたりしながら、少しずつ空間の密度を上げていきました。

竣工写真の撮影は引き渡しから1年後のものです。しかし、ご夫婦にとってはまだ終わりではありません。
年月をかけて無垢床の味わいが深まるように、好きなものを一つづつ足す毎に愛着が増していく住まい。
よりいっそう深まっていく趣 ( flavor )を、これからも楽しみ続けていくことでしょう。