こもれびハウス / アンティークを取り巻く想い(4)
半年程前、アンティーク作業台についての購入を検討していたFさんに対し、ダイニングテーブルとしての使用は良く考えた方がいいとアドバイスをした。味が出すぎているテーブルに食品を載せるのは生理的にダメ、という人は多い。というかそっちの方が一般的だ。子育て中の奥様は大丈夫なんだろうかと心配したが、大丈夫とのことでFさんは購入に踏み切った。
そして、いよいよテーブルの仕上げについて検討しようというこの日、初めてテーブルを見た奥さんは「見た目の雰囲気はとても素敵なんだけど、食事をするにはちょっと・・・出来る限り綺麗に仕上げて欲しい」という反応。
正直なところ、1歳の娘を持つ小嶋にとっては「やっぱりそうですよね。笑」という感じで、想定通りのご要望。
となると目指す仕上げは、アンティークの風合いを残しつつ、見た目もある程度綺麗で、表面の凹凸ができるだけ少ない天板ということになる。
想定通りとはいえ、果たしてそんな仕上げにできるのだろうか。いや、恐らく無理だろう。しかし、Fさん達が納得のいく落としどころを一緒に試しながら、探っていくしかない。最善を尽くすだけだ。
大工さんと事前に話していたのは、ディスクグラインダーで表面を少しずつ削る方法。
ディスクの角度を立てすぎると深くえぐれてしまうので、ある程度水平に近い角度でなでるように削る。一度削れた木はもちろん元に戻らないので、慎重に進めていく。しかし、表面のグレーのところが少しツルっとする程度にしかならない。もう少しディスクを立てて削ってみる。
結構、えぐれてしまった。。。全体を平均的に削るのは難しい。Fさんにもえぐれ具合を確認してもらう。そのままでも良いと思っているFさんを見ると、その表情はとても悲しげに見えた。でも、赤ちゃんのためにも前に進みましょう。
ディスクグラインダーでは上手くいかなかったので、次に電動カンナを試してみた。硬くて全く歯が噛み込まない。歯を出す量を少し増やして全体重をかけてみる。ガリガリという音とともに噛み始めたが、ギザギザの跡が強く出てしまった。。。ダメだ。残る方法は手でカンナをかけるしかない。
大工さんが全体重をかけてカンナを引いてみたところ、なんとか削れることを確認。でも、古い木は新しい木よりも硬いらしく、大工さん曰く「とんでもない硬さ」だとのこと・・・時間をかけて少しずつ削れば何とかなりそうだが、あまり綺麗に削ってしまうと古材の風合いも無くなるかもしれない。。。でも、後はもう大工さんのさじ加減を信じて託すしかなさそうだ。
つづく。